成瀬は天下を取りに行く
<あらすじ>
中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない!
<感想>
2024年第21回本屋大賞受賞作。本屋大賞に外れ無し!なので、迷わず購入。
面白かったです。
滋賀県の大津市という地域を舞台としたお話で、強烈な個性を放つ”成瀬あかり”が話の中心ですが、その周囲の方々視点で物語は始まっていき(視点毎に短編形式)、最後の章に主人公の”成瀬あかり”視点を持ってくる作者の技にまんまとやられました。最後の最後で人間味が分かる”成瀬あかり”に読者のみなさんはきっとファンになるでしょう。
感動…大どんでん返し…ハラハラドキドキ…的な大作感は全くないです(笑)…ないんですが、読んでいて楽しい。そして、大津に遊びに行きたくなる(笑) 大津女子と友達になったような感覚になります。不思議。特に身構えず、軽い気持ちで読んで欲しい作品です。続編にも期待しています。
おすすめ度:☆☆☆☆
作者:宮島未奈、出版社:新潮社、頁数:208P
読了:2024/5
殺した夫が帰ってきました
<あらすじ>
都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男はたしかに茉菜の夫・和希だった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、間違いなく殺したはずで…。秘められた過去の愛と罪を追う、心をしめつける著者新境地のサスペンスミステリー!
<感想>
上で紹介した”成瀬は天下を取りに行く”は新型コロナ流行した時代が舞台でしたが、この作品は東日本大震災後が舞台です。
大どんでん返し系のミステリー。全体を通して、話は暗いです。ホラーではありません(笑)伏線が散りばめられ、終盤に丁寧に回収されていきます。ただ、ちょっと頭を整理しないと混乱する”ネタ”だったことと、ちょっとご都合良すぎませんか?と自分はつっ込みたくなったので、☆-1。結末に納得し、主人公に共感した方は涙する話だと思いますが、好みが分かれるとは正直思います。
引き込まれる話なのでさらっと読めると思いますよ。
おすすめ度:☆☆☆
作者:桜井美奈、出版社:小学館、頁数:288P
読了:2024/4
変な家
<あらすじ>
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。 開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。 不可解な間取りの真相とは!? 突如消えた元住人は一体何者⁉
<感想>
映画化にもなった話題作。小説…ラノベ?漫画?とにかく会話がメインで話が進むので、小説を読んでいる感じは薄いです。そのため、一晩あれば読み終えると思います。2時間程度の映画化にもちょうどいい尺かもしれませんね。まぁ、my戸建てを建てた身としては間取りは見るだけで時間が潰せる楽しいものだと知っていますので、世の中の多くの人がハマる題材だと思います(笑)
ホラー寄りのミステリー作品でこちらも全体を通して暗いです。ネタ的には”殺した夫が帰ってきました”もなかなかのご都合主義か?と感じましたが、こちらはさらに斜め上をいきます。本格的なミステリー小説を読んだ!というよりは、令和の怪談話(フィクション)を読んだ!という印象ですね。暇つぶしにはよいと思います。
おすすめ度:☆☆
作者:雨穴、出版社:飛鳥新社、頁数:216P
読了:2024/4